襟を立てた少年

生きるのが楽しくて楽しくて仕方がない人へ

「写真を安易に作品だって言うのはなんだかおかしい!」

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『歌舞伎町』2010

自分の写真を「作品」と呼ぶのに抵抗がある。

僕は美術大学の学生なので、当然未熟ながら「作品」はいくつか作ってきたといえる。同時に僕はずっとこれまでカメラで写真を撮り続けてきたけれど、「じゃあそれらは作品なのか」と言われると即座に肯定できない自分がいるのだ。

 

 

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『Marlboro Bench』2010(18歳ときに制作した作品)

 

スタジオカメラマンとして曲がりなりにもカメラマンをやらせて戴いた時期があるからか、写真というのは手段であり道具であり、思い出を残すための絶え間ない作業なのだという意識が根本にあるかもしれない。

一年を通して数えきれない数の子供や家族や新郎新婦を撮ったけれど、それは「商品」であっても「作品」ではない。断じて。

 

それでは僕がスタジオ外で撮影した写真であれば「作品」だと言えるのだろうか。instagramで花の写真を撮れば「作品」なのだろうか。なんだか照れくさい感じがしてむずむずする。

なまじプロの世界を垣間見てしまったから、カメラを仕事として使う体験をしてしまったから、自分ごときの撮ったものを「作品」と呼ぶのに恥ずかしさが出てしまうのかもしれない。(もちろん写真は好きだし自分の写真も大切に思っている。これはまた別次元の話だ。)

 

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『血管』2010'10(僕が初めて「作品」として意識して撮影した写真)

 

そういう意味においては大学の写真の授業で写真学科の学生が「この作品は個人的には人との繋がりの破壊をテーマにしていて」と語っているのを見ると「おい.....そのへんでやめとけ....」と声をかけたくなってしまう。やっぱり僕は歪んでいるのだろうか?

 

 

どうしてこんなことを書いているのかと言えば、今受講している大学の授業で、「授業のはじめに自己紹介をしてもらう。その際に自分の今まで撮ってきた作品を持って来い」と言われたのである。

 

それでA4のマット紙を買って家に帰って、何枚か個人的に「かっこいい」と思う写真を印刷してみた。なんとなく作品群っぽくなる。

でもじゃあこれが「自己紹介」として機能し得る「自分の作品」なのかと言えば違う気がする。

 

作品ってなんだ?

 

自分を代表できるような写真っていったいなんだ?

 

結果として僕はひとつの答えに辿りついた。

ポートレート(人物撮影)において、被写体がこちらを見ている写真を選んでプリントした。プリントした写真はA4だからそれなりにボリュームがあって、それを保護フィルムに入れると何だか「作品」っぽくて格好いい。

 

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mn_5 2012

 

全部で40枚ほどプリントして一息つく。

画面の中の人物は老若男女。下は4歳、上は85歳まで、友達や先輩後輩、ホームステイでお世話になった人たちなど僕の人生で出会った沢山の人たちが画面越しにこちらを見て、みんな笑ったり目を細めたり、あるいはふざけたりしている。

そしてこちらを見据える視線の先にはカメラを構えた僕の目があったはずだ。レンズ越しに僕は彼らを見て、彼らは僕を見ていたといえる。

 

 

 

 

つまり、出来上がった「作品」群の被写体たちの顔は、カメラを構えた僕に向けての顔なのである。それが一様に楽しそうにしていたり、悪戯っぽく笑っていたりしていると、「いい人生歩いてきてるじゃん」と嬉しく思う。

そしてこれらの写真たちこそが全体で一つの作品であり、同時に僕の自己紹介でもある。だって彼らのまなざしの先には、必ず僕がいたから。

 

 

写真はデータとして残しているだけでは「データ」だし、ただ印刷してアルバムに貼っているだけでは「思い出」なのだ。そこに作者が「意味」を与えてやることで写真は初めて「作品」になりえるのではないか。と思えた。

美大に4年かかってここに辿り着けなかったことに危機感を覚えないでもないが、とにかく理解できて良かったよ。

 

この僕の「作品」を用いた自己紹介を見て、ほかの生徒の方々が「作品」の「意味」に気づいてくれたならひとまず今回の試みというか、僕の「作品とは?」という疑問に決着がつくのだろうと思う。

 

 

 

 

 

読んでくれてありがとう!

作品っていうのは、小難しくしたり社会的なメッセージを織り込むのではなくて、ちょっと考えると伝わっちゃうっていうのが僕なりのゴールです。

 

 

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