襟を立てた少年

生きるのが楽しくて楽しくて仕方がない人へ

少年の選択肢のはなし

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ある日少年が集めたおはじきで遊んでいると、その父親が「そんなことをしている暇があったら英単語のひとつでも覚えなさい」とたしなめた。

 

少年はおはじき遊びを辞めて机に向かい、ノートに"collect"と三回書いてそれを覚えた。

 

 

 

 

ある日少年がテレビゲームで遊んでいると、父親が「そんなことをしている暇があったら英単語のひとつでも覚えなさい」とたしなめた。

 

少年はテレビゲームを友達に譲り、ノートに"virtual"と三回書いてそれを覚えた。

 

 

 

 

ある日少年は宇宙に興味を持ち、天体図鑑をいつまでも眺めていた。父親が「そんなことをしている暇があったら英単語のひとつでも覚えなさい」とたしなめた。

 

少年は天体図鑑を本屋に売り払い、ノートに"astronaut"と三回書いてそれを覚えた。

 

 

 

 

ある日青年はピアノが好きになり、毎日ピアノばかり弾いていた。父親が「そんなことをしている暇があったら英単語のひとつでも覚えなさい」とたしなめた。

 

青年は楽譜を二つに裂き、ノートに"pianist"と三回書いてそれを覚えた。

 

 

 

 

ある日青年は翻訳士になるために英語の勉強に打ち込んでいた。父親はそれを見て満足し、書斎に戻った。

 

青年は毎日千個の英単語を覚え、翻訳士になった。もうノートに書いて覚えるべき英単語はどこにもなかった。

 

 

 

 

ある翻訳士が大量の英文を毎日扱って仕事としていた。

彼は他に類を見ないほどに優秀だった。そういうわけで彼は英語で何不自由なく仕事をし、生活することが出来た。それは紛れもなく父親のお陰だった。

 

彼は優秀だったが、何も集めなかったし、何も空想しなかったし、宇宙のことについてちっとも詳しくなかった。楽譜を読むことが出来なかったのでピアノが弾けなかった。

 

 

 

 

 

 

 

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