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襟を立てた少年

生きるのが楽しくて楽しくて仕方がない人へ

新しい歯ブラシを買った

 

「新しい歯ブラシを買った」と言うと「古い歯ブラシを買った」経験があったような語弊があるけれど、逆に「歯ブラシを買った」と言うと今まで持っていなかったような表現になる可能性が出てくるから、日本語って本当に難しいね。

 

 

 

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http://www.fine-revolution.co.jp/commodity/toothbrush/entry-355.html

 

 

何はともあれ新しい歯ブラシを買った。

歯医者によると三ヶ月に一度は買い換えてくださいってことらしいんだけど、そんなことしてる人っていないんじゃないかって勝手に思ってる。もちろん「最近歯ブラシ買ったのいつです?」って訊いて回ればいいんだろうけど、歯ブラシを買うとかどういうの使ってるとかって何となく立ち入った話みたいで気が引けてしまうのは僕だけだろうか。

人の家のカーテンの柄をきいたりするのも僕は抵抗があるんだけど、普段意識しないレベルで身近なもの、に関する質問ってどこか相手の生活に立ち入った雰囲気があってやりづらい。なんて考えすぎだと思うけど。

 

 

なんの歯ブラシを買ったかってメーカーも何も忘れてしまって、それはこだわりがないからなんだけどブラシが硬いのが好きなのね。よくホテルとかにあるやわらかいブラシのものだと歯を磨いた感じがしなくて、なんか歯の表面をぬらぬら撫でているだけみたいで嫌な感じ。そういうわけで200円程度の「硬い」ってかいてある歯ブラシを買ったことは覚えている。

 

 

古い歯ブラシを捨てたときは結構快感だった。

古い靴を捨てて名残惜しくなる人はいても古い歯ブラシを捨てて名残惜しくなる人は少ないのではないか。「あばよ」って感じ。ダスト・シュートだ。

新しい歯ブラシは握りやすさなのか人間工学なのかちょっと複雑な形をしていて、持つところが滑り止めみたいになっている。よくできている。

そういえば僕の大学の教授で歯ブラシを熱心集めている方がいて、海外に行くと片っ端から歯ブラシを買い込んでデザインの微妙な違いを楽しんでいらっしゃった。一度コレクションの一部を見せて頂いたけれど何十個も歯ブラシをいっぺんに見ると確かにデザインが少しずつ異なっていて興味深かった。ずらりと並んだコレクションを見たときに「あぁデザインの研究を常日頃している人は目線が違うんだな。熱心ですごいな。偉いな。」という関心と「でもちょっとキモいな」という畏れの入り混じった複雑な気持ちを抱いたことをよく覚えている。

 

 

そうそう、新しい歯ブラシの話。新品の歯ブラシを使うのって最高の気分だ。新車のエンジンをかけたり、洗濯したシャツに腕を通すのと同じ感触。しゃこしゃこ磨いていると今までの歯ブラシと重さとか重心の位置が微妙に違うのがわかる。毎日必ず手にしているものなので、その重さやバランス、質感を手が完全に記憶してしまっているのだ。そういう違和感もまた新しい発見だった。

心なしかいつもよりもうまく歯を磨けた気がする。ブラシだって新品で力強いし、ブラシの本数も多いからいつもより歯磨き粉が泡立つ。歯の汚れだって取れる。

こんな200円ぽっちのもので生活が一段階上がったような気持ちだ。例えるなら良い靴下を買うだけで全体のコーディネイトがうまくいく、みたいな。あるいは車の細かい細かいバネのパーツを取り替えるだけで劇的に燃費が良くなった、みたいな。

 

毎日口に突っ込んでいるものなのだから確かに三ヶ月に一度くらい買い換えても良いかもしれない。でも歯ブラシ買うのって結構億劫だし結局先延ばしにしちゃうんだろうなぁ。

 

今日はここでおしまい。今日も歯磨きました?

 

 

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