襟を立てた少年

生きるのが楽しくて楽しくて仕方がない人へ

デザイナーの僕が美大時代に擦り切れるくらい読んだ本5冊

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前回こんなエントリーを書きました。

 

andy0330.hatenablog.com

 

 

どうして今更こういうことを書いているかといえば理由は結構個人的で、もうすぐある就活生向け合同説明会で先輩デザイナーとしてプレゼンをすることになったのだ。

 

入社三年目で会社のこと、仕事のことを話せるくらいには成長している+とはいえ若いので学生が親近感を感じる、というところで僕に白羽の矢が立ったらしい。(ちなみに元々の意味としては白羽の矢というのは生贄の少女の家に立つものなので犠牲の代表という意味なのだが今回は縁起が悪いのでこの話は伏せる。)

 

 

そういうわけで、「僕はどうしてデザイナーになったのか」「僕はどうやってデザイナーになったのか」「就活生時代に何をしていたのか」というようなことを良く考える日々が続いているわけだ。

 

今回は掲題の通り、美大時代に僕が何度も何度も読んだ本を(当然デザイン書という目線で)5冊紹介しようと思う。あくまで"擦り切れる"くらい読んだ5冊であって、実際には学ぶためにもっと大量の本を読んでいましたとも。(ちなみに本はどれだけ読んでも擦り切れない。便意的な表現をしたまでサ)

 

もちろん本というのは人によって役に立ったり立たなかったりするし、僕が感動してもあなたが感動しないことがいくらでも起こりうるわけだけれども、そういう個々の感性の問題を差し引いたとしても必ず役に立つ本なので是非手に取ってほしいと思う。

 

 

 

日本のデザイン――美意識がつくる未来 (岩波新書)

日本のデザイン――美意識がつくる未来 (岩波新書)

 

 

デザイン関係の本で僕にとっての一番のバイブルは原研哉さんの「日本のデザイン」。

原研哉といえば銀座のマツヤ外装とか、代官山のツタヤをデザインした人ですね。

 

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日本の空港の床が常に異様に美しいことから日本人の美意識を解くところから本書は始まるのだけれど、「日本人が」「デザインをすること」というのはどういうことなのか、そして日本が世界に向けてデザインでできること・できる領域とはどういうものなのか、物があふれて豊かなこの時代、どんなデザインが求められるのか、そういうことが極めて具体的に・理論的に書かれていて、自分も必ず日本人の誇りを持ったデザイナーになりたい と強く思わせてくれた一冊。

 

 

 

 

 

 

人生を決めた15分 創造の1/10000

人生を決めた15分 創造の1/10000

 

 

あのエンツォ・フェラーリをデザインしたのは武蔵美出身の日本人デザイナー・奥山清行だ。この本のタイトルにもなっている「人生を決めた15分」というのは、エンツォ・フェラーリの初期デザインをフェラーリのトップに提案したときにどのデザインも却下されて「もうだめだ」と思った最後のタイミングで、15分でとっさにスケッチを書いて、ヘリコプターに乗り込もうと片足をかけたトップのところに走り込んで見せた最後のスケッチが通った、という話から来ているらしい。(うろ覚えなので細部が違ったらすみません。)

これは最後まで勝負はどうなるかわからない、とか、正解は意外と傍にあるものだ、とかそういうことを書いているのではなくて、考えて考え抜いて全て出し尽くして、もうだめだってなったその先にふと肩の力を抜いたときに完全なデザインがやってくる、みたいな意味だと僕は捉えている。

デザイナーが簡単そうにさらさら描くスケッチもそうで、肩の力を抜いているからさらさらかけるわけではなくて、気の遠くなるような地味すぎる練習の末にできるようになった技なのだ、という理屈とよく似ている。

 

奥山清行がどのようにしてデザイナーになったかという軌跡と、最高峰のカーデザインを成し遂げた彼がこれから何を目指していくのかというのが書かれているので非常に面白い。

 

 

 

デザインの骨格

デザインの骨格

 

 

どうしても僕は原研哉病というか、ミニマム・ノーデザイン的な方に思想が偏っているので選ぶ本もミニマム思考なものになっているのだけれど。山中俊治は改札機のパスモタッチ部分を計画した人ですね。この本で紹介されているスケッチの話がすごく好きで、とにかくスケッチというのは技術とかいう以前に筋トレのように毎日毎日手に覚えさせるもので山中俊治本人も今でも毎日楕円を描く練習を欠かさないという話を読んで僕も楕円をやたらと書くようになった。(楕円はスケッチの基本です。)

 

 

 

考えの整頓

考えの整頓

 

 

佐藤雅彦といえばポリンキーのCMやピタゴラスイッチで有名ですね。デザイナー、と一言で呼んでしまっていいものなのかわからないけれどアートディレクターという呼び方が一番しっくりくる気がする。今まで紹介した3冊はどちらかというと自伝的であり、技術的な話、デザインそのものの話が多く登場するのだけれど、こっちはもっとエッセイ的(というか暮しの手帖に掲載されたエッセイそのものなのだけれど)であり、ずっとライトで読み易いのですよ。

内容としては発想法。思考法。とくに美大の講評などで「画一的でつまらない。」「もっと自由に発想しなよ」「どこかで見たことあるデザインだね」みたいなことを言われる人は是非読んでほしい。日常に転がる他愛もないものから「おもしろい」を引き出す天才だと思う。そういう天才の思考法というか、視界を拝借するような気持ちで本書を読んでみてほしい。

 

 

 

 

デザインの輪郭

デザインの輪郭

 

 

深澤直人といえば無印良品のデザインに深く関わっていて、換気扇のようなCDプレーヤーや換気扇が有名ですね。あとガラケー時代にはインフォバーが話題になったりもしました。

例えば傘立てをデザインしろと言われたらみんなはどんな傘立てをデザインするだろうか。四角い形?丸い形?赤いのか、白いのか、どんな機能があるのか、どこに置くための傘立てなのかー。例として深澤は、床に溝を一本ひけばそこに傘を立てかけるだけでそこが"傘立て"になる。というのである。こういう機能どうこう以前に目的を解決するためのデザインを追求する姿勢を学べるのが本書だと思う。

 

 

 

以上5冊を紹介しました。個人的に好きではないデザイナーをことごとく載せないという子供っぽいことをしましたが、もちろん佐藤可士和箭内道彦の本を読んでみても勉強になると思います。

最初に書いた通り5冊は「誰でも絶対に勉強になるし是非読んでほしい5冊」であって、実際にはもっともっと大量に本を読まないとなりたいデザイナーにはなれないと思ったほうがいい。あらゆるデザインが出尽くした時代だからこそ、先人の思想を深く学ぶべきだと僕は考える。

 

この中で一冊だけ選ぶとしたら原研哉の「日本のデザイン」なので、僕もまた読み返そうと思います。他にもおすすめの本はいくらでもあるのだけれど、一応載せるだけ載せておくので参考にどうぞ!

 

読んでくれてありがとうございました。

 

 

 

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SAMURAI 佐藤可士和のつくり方 改訂新版

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みえないかたち  ~感覚をデザインする

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