襟を立てた少年

生きるのが楽しくて楽しくて仕方がない人へ

デザイナーとして高校で授業をしたよ

 

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このたび「この人にきく」と題して

高校に社会人がお邪魔して2時間授業をする、というものをやらせていただいた。

空間デザイナーという肩書きであらかじめ紹介されていたので、待っていた生徒は「どんなんがくるんやろ」「オシャレな帽子でも被ってくるんちゃうのん」みたいな話をしていたそう。

 

andy0330.hatenablog.com

 

期待に添うように(?)なるべくデザイナーっぽい格好をしていこうと思い、黒無地Tシャツに黒いサマージャケット、リーバイスのデニム(自由の象徴!)、コンバースのスニーカーで向かった。それからバックパックをした時の話をしやすいように鞄はグレゴリーのバックパック。

 

今回の趣旨としては、学校・バイト先・自宅を行き来する学生に対して"外の世界"で働く様々な社会人の"生"の話を聞くことで生徒が将来のヒントを得る機会をつくる−というようなもの。

 

それで、こういうことを書くのは大変失礼なのだけれど、学生のスタンスとしては「なんか外部から来る人の話を聞くだけデショ、楽勝楽勝」くらいの感じだと踏んでいた。そしてその認識は実に甘かったのである。

まず講師控え室で待っていると学生が迎えに来てくれた。それから教室に入ると始業5分前には全ての生徒がほぼ着席しており、僕のド肝を抜いた。さらに驚いたのは全ての学生がノートを開いて僕の話を書き留められるようにしていたことである。

 

いや、認識の甘さはまだある。

講師2,3人くらいがひょっこりやってきて話をするくらいの規模だと思っていたら総勢46人の様々な職種の人がいらしていろんな話をするという。

授業の方法もPCを用いてパワポを使ったり、プロジェクターをつかったり、実演したり。するらしく。

さらに「なんか若いデザイナーがおもろい話をしに行く」くらいのスタンスで学校にやってきた僕に対し、総括教諭がいらしてわざわざ挨拶してくださり、美術教諭とも名刺交換させていただき、おまけにまた機会があればというお話も広がり、とどめに校長先生から「5年後10年後の学生の未来を照らすようなお話をして欲しい」みたいな激励も頂き、「ちょちょ、ちょっと一回出直してきていいです?」という心境であった。

 

 

 

僕はひとまずいつも通り、「緊張→ネガティブ→開き直り→ポジティブ」というスピーチ前の気分ワンクールをこなして講演に臨んだ。

結局アサガオの種からはアサガオしか咲かないように、僕にできるのは僕の話しかないのであるから、僕の話を暇つぶしにするか、糧にするかは生徒次第なのだからジタバタしても仕方がない。このアンポンタントークから何か得れるものなら得てみろよ!!くらいの開き直りをした。

 

した、のに前述した通り行儀よく着席しノートまで開いた学生たちを見て硬直してしまった。「あうあうあう」と言いながら自己紹介をする。それから学生ひとりひとりの名前を聞きながら名前の由来を聞いて、成人式には親に感謝しようねって話につなげる作戦に失敗する。話す内容は考えてきたが、学生に矢継ぎ早に質問されたり授業をとめられたりしながら話すのを前提に内容を考えていたのでいざシンとしてまともに聞かれると面食らって頭が真っ白になった。

ちなみにこの講演の3,4日前に僕は3倍くらいのあらゆる国籍の就活生相手に堂々とグッドスピーチを繰り広げていたのだけれどそのときの働きに比べれば見るに耐えない状況であった。

自分の学生時代の治安があまりに悪かった(=育ちが悪かった)事例を講演先の高校にも当てはめて考えたのが大変よくなかった。だって僕の学校こんな真面目な子ばっかじゃなかったんだもん!

 

話す時間は2時間あって(恐ろしく長い)なんと僕は10分休憩を挟みつつ2時間喋り続けるという人生最長のトークを展開し、質問コーナーで沈黙があったときには裏声で勝手に質問を出して自分で答えるという荒技も展開して見せた。

 

前半はとにかく学生をほぐすためにゆるい話を延々とした。大学楽しいよーとか高校の頃こうだったよーとか、失恋とか部活とか遊びとかバイトとか、そういうことを笑い話8割くらいでだらっだらっ話した。あまりにもゆるい話なので学生もノートに書くことがなかったであろう。もう少し世阿弥とか千利休の茶の間とエンプティーデザインの展開とか、モダンアーツとか産業革命からノーデザインまでの移行とか、そういう話をすると思ったでろう。

 

 

甘いッッ!!

 

 

学校の授業のように「1582年 本能寺の変」みたいな話は僕はしない。できるけどしないのだ。僕みたいに適当な人間が半生を語る、中から、役にたつものを自分で見出していかなければならぬ。その能力を今のうちに培っておかないと社会に出た時に不毛な説教から教訓を得ることができなくなってしまう!(*先生には終わった後「次があればもっとちゃんとやりますと謝罪しました...)

 

チャイムがなって10分休憩。学生たちは伸びをしたりスマホを取り出していじったりしている。「ツムツムとかやってるの?」と言ったら「つまらないからとっくにアンインストールしましたよ笑」と言われた。君がアンインストールしても僕は絶対にこのあとツムツムの仕事をした話をします。

 

 

 

 

となりのクラスだかからJK(女子高生)がやってきて、うちのクラスの子と雑談している。「そっちどう?」みたいな。「おもしろいよー上司に説教された話とか〜社会のことが垣間見れてる感じ」

 

それを聞いて焦る私。

そうか、大学時代の話とかよりもっと仕事の話、社会の話をしなくては。

 

チャイムがなってからは前半とは打って変わり馬鹿話から必死に路線変更してデザインと仕事の話をした。まず自身の仕事内容について話し、やりがいを話し、大変だった苦労話をし、入社の話、就活の話をし、名刺を配ってキャッチコピーの説明からドラッガーの話をし、そこからさらに広げて原研哉のdesigning designの話に触れた。

 

↓こんな話もしました

andy0330.hatenablog.com

 

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それから編集工学に触れるような内容も話したりして、一応伝えたかった「知識を増やそう」っていうのと「ダブルメジャーの重要性」は話すだけ話せたかな...伝わったかどうかはわからないけど。

 

それからこれはもっと早い段階でやっときゃよかったと思ったのだけれど、自分のスケッチ(営業と話すときにチャチャっと描いたやつ)を見せたらすごいウケて、「すっげ..」みたいな反応を貰えてしたり顔。あとCADで描いてパースとかももっと見せてあげればよかったな。口で話すだけじゃどんな仕事か思い浮かばないだろうし...。

 

途中カメラを持った先生がいらして僕が話してる様子を撮影していた。

撮影し始めた瞬間僕はチョークを持ち、急にポーズを取ってめっちゃイイコト語ってる風になった。全員笑ってたけどね笑

 

少なくとも学生たちの退屈しのぎにはなった2時間だっただろうが、とにかく僕の最大の失態は高校生が創造をはるかに超えて真面目に聞いてくれ、「学ぶ!」というノートを開いた姿勢・態度に圧倒されてしまったという構図であった。

反省を始めればきりがないが、もっとCI・UI・インタラクティブアフォーダンスフールプルーフなどとデザイナーとして最低限必要な学問的な部分を簡単に教えてあげるだけでも学生は興味を持てたのではないか...とマイナスな振り返り方をしたくなってしまう。

 

 

総括すると、逆に勉強させられてしまった1日でした、というと綺麗にまとめすぎているようにも感じられるが。とにかく素晴らしい経験ができました。こんな機会を与えてくださり本当にありがとうございました。

 

 

 

 

いやあ、僕はあんなに真面目じゃなかったな....。

 

 

 

おしまい 

 

 

 ◆今回講演で特に触れた、あるいは関係する書籍は以下のとおり

 

 

羊と鋼の森

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アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)

アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)

 

 

 

17歳のための世界と日本の見方―セイゴオ先生の人間文化講義

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マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則

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日本のデザイン――美意識がつくる未来 (岩波新書)

日本のデザイン――美意識がつくる未来 (岩波新書)

 

 

 

デザインのデザイン

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