襟を立てた少年

生きるのが楽しくて楽しくて仕方がない人へ

何かを所有することで、ひとは地上に一つずつ縛り付けらる。の解釈

 

 

 

ミニマリスト週間、最後の記事になります。

とりあえず僕が引越しをするにあたって自分の部屋にひしめく物・物・物にうんざりして書き始めた今回の記事たちなのだけれど、後一個書けば僕としては言いたことは全て言ったことになるので、今回がミニマリスト系の最後の記事になります。

僕はミニマリストではないですが。

 

タイトルと冒頭で紹介した江國香織「何かを所有することで、ひとは地上に一つずつ縛り付けられる」という言葉が僕の中に非常に刺さっています。すごい説得力がある言葉だなと感じた。

 

これが結構抽象的な表現なので、一番コンテクストを下げて意訳するのであれば「ものを持ちすぎると移動できなくなる」と言えるのではないかと思う。

移動っていうのはいくつか意味を持っているので順繰りに紹介するとまず

 

 

 

旅行できなくなる

人を旅行できなくする最大の持ち物ってなんだと思います?

僕はペットだと思う。犬ならまだなんとかペットショップに預けられるにしても猫は預けるのも結構難しい。現に僕の身の回りの猫オーナーは全然旅行をしない。泊まりの旅行を嫌がる。だって家に猫がいるから...と言う彼らはしかし困った表情を浮かべずに、「当たり前でしょ」と言う顔をしている。つまり、「猫がいるから旅行できない。全く迷惑なものだ」とは思っていない。猫がいるんだから私は旅行なんてしない、と考えているのである。

つまり厳密に言えば猫を所有していると「旅行できなくなる」のではなく「旅行する気がなくなる」と言うのはほんとうは正しいのだと思う。

 

引越しができなくなる

人を引越しさせなくする最大の持ち物ってなんだろう。

これは人によって答えはまちまちだと思う。どの質問においても答えは一つではないのだろうが。例えば車があげられる。車があると引越しの選択肢は一気に狭まる。

どの家に済むにしても、自分の帰る場所と車の帰る場所を両方確保しなくてはならない。駐車場がついている家ならまだいいが、なかった場合今度は駐車場の不動産選びをしなくてはならないので二倍の手間だ。

自分が住む家の家賃を推し量った後に今度は車の家賃を勘定に入れなければならない。それが結果として「家はいいけど駐車場がだめ」とか「駐車場はやすいけど家賃が高い」みたいなことが起こる。そして最終的に引越しができなくなる。条件が厳しくなってしまうから結果移動が困難になる。車を手に入れることによってどこにでも行けるようになった代わりにどこにも行けなくなったのである。

 

また先ほどと完全に重複するけどペット。

こう考えるとペットって重いよなぁ....。途中で売ることなんてできないし、捨てるわけにもいかないし。ペット可前提の家探しをはじめて、そして大抵そういう物件は普通よりも高い。今まで住んでいた家もクリーニングして引き払わないと行けなかったりしてとにかく重い。結果として引越ししなくなる。「この子がいるし」とか言って。これは普通に子供とか、配偶者とか、家族にも当てはまる要件ではあるが、今はミニマリストというチャンネルで所有について考えているので家族についてはあまり考えない。

 

あるいは大型家電。具体的には冷蔵庫のことだな。テレビも入るかもしれない。

「この物件、条件があれこれ揃ってるけど今持っている冷蔵庫が入らない」なんて最悪のパターンだ。そんなことになっても冷蔵庫を良い値段で売り払うことなんてほとんどできないから諦めるか、あるいは手放して新しい冷蔵庫を買うことになる。

引越しをする場合に考えないと行けない項目が家電のぶんだけ増えていく。

テレビの配線はどこにあるんだろう。ソファーってこの部屋に合うのかな。炊飯器のコードはどうやって配線する?洗濯機の寸法をメモした紙ってどこに言ったっけ.....etc

家電を多く持っていると間違いなく引越しの難易度は跳ね上がる。難易度というか、ハードルっていうのかな。

 

 

新しいことを始めにくくなる

例えば、経済的に。バイクに乗ってて、ネット使い放題のプランに入っていて、ネットフレックスと契約していて、今度冷蔵庫の修理を依頼しなきゃ。そんな日々を送っていると「ちょっとたまには映画館に行こうかな」とか、「友達にテニススクール誘われたからはじめてみようかな」という気持ちが全然わかなくなる。

今のペットが病気になったら。今持っている家電が故障したら。今月の電気代いくらになるだろう。ローンの支払いって後何回残ってるのかな。そういう心配事を毎日抱え込んでいるマキシマリストは新しいことを始める余裕がどこにもない。

これ以上ものを増やすのは嫌だなという意識が常にあるし、そもそも所有物が貯金残高を圧迫していくのでそういう余裕が生まれないのだ。

新しいことを始めるっていうのは、あたらしいステージ・世界を覗きにいくことだからこれもまた移動と言える。そういうフットワークの軽さを人は失うことになる。

 

 

以上のごとく、ひとは所有するごとに一つずつ地上に縛り付けられる。

地上っていうのは僕の解釈で言えば「今の環境」のことだ。この今の環境から、例えば旅行だったり、新しい趣味の世界だとか、そういうところへ「移動」できなくなっていくのだ。様々な要因によって。

 

僕は移動するのが好きだ。旅行も好きだし。

だから動きやすくしておくためにものはあまり持ちたくない。

現代人なのでミニマリストのような生活はできないが、それより一つランクの低い「比較的ものを持たない暮らし」くらいならできそうな気がする。少なくとも目指す価値はあると思う。

 

ものをたくさんもっていて、それで幸せなひとももちろん世の中にはたくさんいるだろうが。僕は移動したい。これまでだってずっと移動してきたし、これからだって少ない荷物と一緒に移動し続けて新しい景色を見にいくことを諦めずに生きていくつもりだ。

 

 

 

おしまい

読んでくれてありがとう。

タイトルのセリフはこちらの本に登場します。

 

 

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