襟を立てた少年

まだ間に合う 世界は素晴らしい

髪を切った日の夕方のような足取りで

 

髪を切ってもらうために行きつけの美容院へ。

いつもの美容師さんが「今日はどんな風にしましょ」と言って、

僕はいつものように「格好良くしてください」と応える。

 

 

美容師さんはニッと笑って「はい、スーパー格好良くします!」と請け負う。

段取りの時点でこちらの期待を超えるー。プロとはそうあるべきなのかもしれない。

 

 

 

髪を切ってもらい、洗髪してもらい、肩をほぐしてもらい、頭皮のマッサージをしてもらい、眉毛を整えてもらい、顔を剃ってもらい、サービスで美容液を顔に塗ってもらう。これで4500円くらい。これって高いのだろうか安いのだろうか??

 

 

すごく腕がいい美容師さんなんだよ、

と僕が友人に自慢したら友人が「僕もそこで切ってもらうかな。普段は1000円カットなんだけどね。」と言った。ぜひ行きなよと勧めると「まずそこで切ってもらって、翌月からは1000円カットで同じ髪型にしてもらう。」と言い出すので震撼する。

 

全国の美容師を震え上がらせる言葉だ。

日本中の人がそれをしてしまったらほとんどの美容師は廃業に追い込まれてしまうのではないか...??

 

1000円カットの床屋にしてみれば(僕は床屋という言葉に差別的言語イメージを持っていないので平気で床屋と口にさせてもらおう。そもそも床屋が差別用語なんていうのは一部のインテリが語源を遡ってうそぶいているだけで、当人の床屋は自分のことを床屋というのだ)来たお客の髪を一ヶ月分カットしていけばいいだけの話なのだ。1cm伸びたのなら1cmずつ全部カットすれば元どおりになる。

 

 

となるとそれを防ぐために美容師に求められるのは快適な美容室を心がけたり、お客さんが喜ぶようなトークを磨いたり、肩をほぐすようなプラスのサービスを考えたりするようなおもてなしなんだろうな。

 

1000円カットみたいな合理的経済的なものがどんどん進出していく一方で

僕が通う美容院みたいな上質なサービスを楽しく考えているようなお店も負けないくらい発展していくといいな。

 

 

余談だけど、髪を切った夕方は、なんでも新しいことが出来ちゃうような無敵な気分になれるんだよね。僕だけだろうか。

 

 

 

 

おしまい