襟を立てた少年

まだ間に合う 世界は素晴らしい

トライアスロンで得たもの失った物

 

f:id:andy0330:20180810215725p:image

 

2年前の8月、僕は陸上自衛隊木更津駐屯基地の飛行機用の滑走路をロードバイクで走っていた。

 

滑走路を走るときの気持ちは滑走路を走った人間にしかわからない。僕は最高にご機嫌だった。路面は驚くほどフラットかつ清潔で、夏の温風の中を適切な疲労感を抱いて颯爽するのは最高の贅沢だと知った。

 

 

なぜこんなことになったのかと言えば、僕が木更津トライアスロンにエントリーして出場したからである。木更津トライアスロンのレース会場は陸上自衛隊木更津駐屯基地である。

木更津トライアスロンの広告にはまさしくその滑走路の写真が大きく使われていて、「泳いで漕いで走って飛んで!」みたいな謳い文句だった気がする。

 

 

 

なぜ出場したのかと言われれば、まず滑走路を走るなんて経験なかなかできるものじゃないし、陸上自衛隊の滑走路をロードバイクで疾走するなんて最高にクールだと思ったから。

 

それから、思い出にもなるし、ネタにもなると思ったから。僕はその頃20代前半最後の年で、体力のピークだと思っていたので何かしら大きな大会に挑戦したりするなら今しかないと思ったのだ。ネタっていうとちょっと斜に構えた言い方だけど、要は「トライアスロンに出たやつ」になりたかったんだな。きっと。

 

そんな不純な動機でもトライアスロン

楽しかった。泳ぐの苦手だったけどなんとかなるもんだ。

 

 

 

泳いで漕いで走るとめちゃくちゃ疲れる。 

 

それは普通人間が体験しない疲労だ。使う筋肉が違ければ使う神経も違う。泳ぎまくって疲れるとか走りまくって疲れるという一種類の疲労とは次元が違う疲労なのだ。

そして恐ろしいことにその疲労感がキモチイイ。

だいたいアスリートって疲れるのが好きというか耐えるのが好きというかマゾっぽい気質の人が多い気がする。

 

 

大人になって、大会なんてものに出られる有り難さよ。僕は、学生を卒業したとき、そんなものに出られるなんて夢にも思わなかった。

そう、僕は有り難かったのだ。

大人になってサラリーマンになって、お給料をもらったり残業したり同僚と飲んだりしながらもトレーニングをして、大会に向かってカレンダーに印をつけていくことが有り難かったのだ。

 

 

そして、トライアスロンである。

すごい感がすごい。

これを本当に完走したら、僕は今後の人生で自分にとって自信を持てるかもしれない、と思った。

 

 

事実完走したし、ものすごい自身に繋がった。

20代前半が体力のピークとか思ってたけど20代後半の方が多分強い。今またトライアスロンに出られたらもっと良いタイムを出せると思う。そんなことが言えちゃう自分は、あのときトライアスロンに出たときの自分のおかげなのだ。

だから僕はあのときの自分とトライアスロンに感謝している。

 

 

以上のあれこれが得たものだ。

変えがたい僕の宝物。

 

 

 

 

 

失ったもの。

これはもうシンプルに金と時間だよね。

 

 

お金がかかる。

エントリーに数万円持っていかれる。自衛隊基地をお借りしてるのだから当たり前だ。

水泳、ロードバイク、ランニングの道具を揃えなければならない。水泳はスイムスーツというトライアスロン用のウェアをレンタルか購入しなければならない。これも確か数万円する。

このあたりとトレーニング費用・交通費等を合算すると5,6万円は平気で使っている。

 

 

そして何より時間がかかる。

何しろ、大会までスイムの練習とバイクの練習とランの練習をしなければならないのだ。

僕は会社員として会社に通いながら週2で市民プールに通い、週2でランニングをし、週2で自転車に乗った。何もしない日は1日しかなく、だいたい残業の日をこれにあてた。

飲みを断り、合コンを断り、断り断り断りトレーニングに打ち込んだ。会社ではコーヒーの代わりにプロテインを飲んでいた。トライアスロンなんてやってる人いないから誰に相談するでもなく黙々と。

 

これは、字面で見るより結構しんどい笑

トレーニング以外何も出来ない。

 

よく実業家とか社長とか芸能人がトライアスロンを趣味にしてたりするけれど、ウルトラマラソンくらいになってくるとあれはお金と時間に余裕のある大人の遊びなんじゃないかと思えてくる。だって場所がホノルルだったりするんだよ?

 

 

トライアスロンが終わったときに

「よーやく終わった」と思った。

 

最高の達成感と、安堵だった。

 

 

充実感がすごくて、トライアスロンやり切ってやったぞ、って自己肯定感が漲っていて、身体中へとへとで、でもそれが気持ちよくて

そして僕は「とうぶんはやらねえ!」と独り言をつぶやくのだった。

 

 

 

 

おしまい